2015年04月01日

書籍紹介:若者と労働 「入社」の仕組みから解きほぐす 濱口 桂一郎 その1

日本の雇用・労働について文句を言う前に必ず読むべき本。


若者と労働 「入社」の仕組みから解きほぐす 濱口 桂一郎
評価:★★★★☆

「日本企業はは年功序列で若手の給料は低いし、雇用の流動性がない。
 産業の新陳代謝のためにも、もっとアメリカ型の雇用慣行であるべきだ」
なんて語る前に、ぜひ読んでほしい本です。

例え結論が同じだったとしても、乱暴な議論の前に、この本を読んで日本型の雇用慣行を正しく理解しましょう。

まず著者は日本型の雇用慣行を「メンバーシップ型」、欧米型(実は日本以外全ての国)「ジョブ型」と定義しています。

・メンバーシップ型
メンバーシップ型では、会社に帰属する仕事を当てはめます。
給料も人の能力に支払われます。(職能給)
つまり同じ人が全く違うポストに異動になったとしても、
仕事が変わったことによっては急に給料は変わりません。
また同じ仕事をしていても、能力が伸びていけば給料が上がります。
採用は新卒一括です。

・ジョブ型
ジョブ型では、仕事を当てはめます。
給料も仕事に支払われます。(職務給)
つまり同じ仕事をする人には同じ給料が支払われます。
いくらスキルが上がったからといっても、同じ職務を与えられている限り、
給料は上がらない。その代わり、別のポストに抜擢されたら、給料が一気に上がります。
採用はポストが空いた場合に必要な人を調達する、欠員補充式です。

次に、なぜ日本では新卒一括採用・年功序列(=定期昇給)が定着したのか、歴史を紐解いています。

詳細はこの本を見て頂きたいですが、まず新卒一括採用は、戦前から一部のエリートに対して行われていた新卒学生の子飼い制度が、戦時中の国家総動員を経て、戦後に雇用慣行として広がっていたということです。
つまり、戦時中は学校卒業者を雇用は全て厚生大臣の許可制になっていたのですが、それが戦後に職安と中学校間の推薦として受け継がれ、世の中が高学歴になっていくにつれて、中学、高校、大学と広がっていたようです。

また年功序列については、戦後の経済成長が上手くはまった結果のようです。

実は戦後は職務給をGHQと政府が進めようとしていたのですが、経済成長の中で仕事が次々に新たな生まれ、いちいちジョブの定義をするよりも、人をベースに処遇する方が効率的だったということで、1970年代から本格的に職務給が広がっていきます。

そして職能給の広がりにより、新卒のまっさらな状態で会社に入り、どんな仕事でもこなせる職務遂行能力と会社への帰属意識が重視され、学校での職業教育の必要性が薄れました。そして、教育訓練は会社の中で行われるようになりました。

こうして新卒一括採用と職能給をベースとした年功序列が出来上がりました。

ここまでが、日本型雇用の本を読んだ私の理解です。

長くなったので、日本型雇用への誤解、問題点、処方箋については、次回投稿します。
posted by NSTexan at 23:03| Comment(0) | 書籍紹介★★★★☆ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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