2015年04月03日

書籍紹介:若者と労働 「入社」の仕組みから解きほぐす 濱口 桂一郎 その2

さて、前回日本型雇用についての定義を整理しました。

ここから最近注目されてきた日本型雇用にまつわる問題点について、どう理解すべきか、この本は解説しています。

・日本型(=メンバーシップ型)にまつわる誤解
@解雇しにくい←×
 ジョブ型では仕事がなくなれば直ちに辞められるのに対して、メンバーシップ型では配置転換の努力が求められます。
 これを理由に日本型は解雇規制が強いと言われています。
 ところが見方を変えると、メンバーシップ型では、会社のメンバーとしてふさわしくない、(例:信条・信仰等が会社と合っていない)という理由で、解雇できるのです。

A日本の雇用制度は変えられない←×
 実は法制度上はジョブ型になっており、運用や裁判の判例によってメンバーシップ型になっているだけです。
 慣行である限り、変えられるはずです。

B給料が押さえられる若者に厳しい世の中だ←×
 実は日本は若者の失業率が極めて低い、若者の雇用問題のなかった国です。
 なぜなら、何のスキルも持たない新卒学生が一括採用で必ず就職できる世の中だったからです。

・メンバーシップ型に寄与する諸問題
しかし、メンバーシップ型もバブルを境に崩壊しつつあります。

@ブラック企業
 本来、無限の奉仕に対して終身雇用を前提に長期的に会社は見返りを返してきましたが、終身雇用の前提が崩れ始めました。
 そこで無限の奉仕をさせながら、見返りを返さないブラック企業が現れました。

A採用ブラック
 人間力採用は、経済成長中は特に大きな問題になっていませんでしたが、企業の採用数が減り、就職活動が厳しくなるにつれて、人間力採用の重要性が増してきます。
 すると、採用に落ちた学生は、人格を全面否定されたようになり、こうした採用ブラック問題も起こっています。

B取り残された年長フリーター
 バブル崩壊直後、企業に採用されなかった多くの学生がそのまま非正規雇用となりました。
 こうした人達は、その後景気が持ち直しても、新卒一括採用から終身雇用とは別のレールを持たない大企業には入社できません。
 そうして生まれた年長フリーターが大きな問題となっています。

・日本の労働問題への処方箋
著者は「ジョブ型正社員」の導入を労働問題を解決する方法として提唱しています。

ジョブ型正社員とは、仕事の範囲や場所、時間に範囲があるが、期間には定めのない正社員です。
このジョブ型正社員(=限定正社員)を、年長フリーターや女性の雇用の受け皿として活用していくべきだと、著者は述べています。


なかなか難しい日本の雇用問題ですが、親しみやすい文体で、明確に背景・論理を説明してくれています。
学生、人事関係者、人事に不満を持つ人、全てに必読です!
posted by NSTexan at 12:00| Comment(0) | 書籍紹介★★★★☆ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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